ひだかがわいりあいざくら

日高川入相花王

わたしばのだん

渡し場の段

この物語は、皇位継承争いなどを題材にしています。
竹田小出雲、平松半二などの合作で、1759年に初演されています。
渡し場の段は、五段続きの四段目です。

あらすじ

安珍は、朱雀天皇の弟で桜木親王の仮の名です。朱雀天皇は、桜木親王に位を譲ろうとしますが、藤原忠文や、純友に妨げられます。

親王は、僧安珍と名を変え、庄司の館に旅の一夜の宿を求めます。 庄司の娘、清姫は、都で見染めた恋しい人が安珍だったことに気付き、その想いをうちあけます。

その時追っ手が踏み込みます。庄司は安珍を清姫の許婚(いいなずけ)だと偽りその場を逃れます。清姫は、父の言葉を真に受けて安珍と逃げるために旅支度にかかります。その時、庄司の館には、安珍を探している恋人のおだまき姫も泊まりあわせていました。

ふたりは館内で偶然出会い、清姫が支度をしている間に、道成寺を目指し、館を立ち退きます。清姫は安珍を追って道成寺へと向かいます。日高川にさしかかった清姫は、川岸につながれている一艘の船を見つけ、船頭に渡してくれるよう頼みますが、船頭は冷たくあしらいます。

船頭は、安珍から金をもらって清姫が来ても、決して渡してれくれるなと頼まれていたのです。

清姫は、安珍への想いがどうしても断ちきれず、嫉妬に狂い、安珍を恨み、自力で川を渡る決心をします。
恋の執念は、清姫を蛇体に変身させ、川を渡りきります。